「老後はなぜ寂しいの?」
「老後が寂しいと何が危険?」
「どうしたら充実した老後が送れる?」
老後は、ライフスタイルの変化や病気などの身体面の不安などから寂しさを感じやすくなります。
寂しさへの対策をとらずに放置してしまうと、心身の健康を損なうおそれがあります。
寂しさを感じる理由やリスクについて知り、適切な対策をとることで充実した老後を送りましょう。
ぜひこの記事を参考に、老後を充実させるための行動をとっていきましょう。
老後に寂しいと感じる人の割合は20%を超えている
令和4年版高齢社会白書(全体版)によると、65歳以上の1人暮らしの者が増加傾向にあります。
令和2年(2020年)には672万人まで増加しており、今後も1人暮らしの高齢者の割合は伸び続けると予測されています。
そのため、寂しさを感じる高齢者の方も増えてしまうかもしれません。
内閣府の「令和3年 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査」では、全国の60歳以上(令和3年 11 月 1 日現在)の男女を対象として、以下の項目で高齢者の孤独や孤立について調査しています。
(イ) 自分には人との付き合いがないと感じることがあるか
(ロ) 自分は取り残されていると感じることがあるか
(ハ) 自分は他の人たちから孤立していると感じることはあるか
結果は孤独や孤立を感じていない方がいる一方、いずれの項目でも20%超の方が孤独や孤立を感じていることが分かります。
老後に孤独や孤立といった「寂しさ」を感じやすい原因を次の項目にて解説します。
老後に寂しいと感じる7つの原因
老後に寂しいと感じる原因は以下の7つです。
- 子どもや孫が遠方にいるから
- パートナーがいないから
- 友人がいないから
- 金銭的な余裕がないから
- 所属がないから
- 趣味など熱中できるものがないから
- 病気など身体面の不安があるから
時には、1つの原因だけではなく、複数の原因から寂しさを感じている場合もあるでしょう。
それぞれについて詳しく解説します。
子どもや孫が遠方にいるから
子どもや孫が遠方にいて頼れないという場合に、寂しさを感じる方もいます。
「迷惑になるから」「負担になるから」という気持ちから、自分から連絡がとれなくなり、さらに疎遠になってしまうこともあるでしょう。
「遠くの親類より近くの他人」といった言葉もありますが、親しい方との交流が途絶えてしまうことで空虚な気持ちになってしまう方もいるかもしれません。
パートナーがいないから
パートナーと離婚や死別といった理由で離れた場合にも孤独を感じやすいといえます。
これは、パートナーに精神的に支えられること場面が多いことが理由として挙げられます。
アメリカのホームズとレイによる、人生のストレスを数値化した研究では、配偶者が亡くなることが最も強い100という数値であると示されています。
そのためパートナーとの別れは非常に強いストレスとなり、心身に影響を及ぼす可能性も高いといえるでしょう。
友人がいないから
あまり人と交流するのが得意ではなく、友人や知り合いがいない場合に寂しいと感じる方もいます。
友人と話をしたり、出かけたりすることで、気持ちが晴れやかになったことがある方も多いでしょう。
しかし、逆に人といることで気を遣って負担になってしまう方もいるため、ケースバイケースともいえます。
金銭的な余裕がないから
老後は定年退職をして、年金を受給する方も多くなります。
そのため、今までよりも生活や娯楽に充てるお金が少なくなる可能性があります。
お金に余裕がないと、経済的なストレスや不安につながってしまうこともあるでしょう。
金銭的な余裕がないことから、人付き合いや外出が億劫になり、結果として寂しさを感じるケースもあるようです。
所属する場所がないから
定年退職で退職した場合などに、所属する集団がなくなることで寂しさを覚えることもあるようです。
「所属している」からこその安心感を感じる方もいるでしょう。
また、今まで親しくしていた同僚などと顔を合わせられなくなることも、孤独を感じる一因となります。
趣味など熱中できるものがないから
仕事に打ち込んでいた、子育てに打ち込んでいたといった方は、なかなか自分のことに目を向けられる時間がなかったかもしれません。
打ち込んでいたものが急に無くなってしまうことで、寂しさを感じることもあります。
また、老後は身体的にも、それまでの趣味に打ち込めないこともあるでしょう。
そういった身体的な変化に落ち込むことも、気分の低下につながってしまいます。
病気など身体面の不安があるから
歳を重ねるにつれて、身体面での不調や病気が増えるでしょう。
「心と体はつながっている」ともいうように、身体が辛いと気持ちが落ち込んでしまうことがよくあります。
気持ちが落ち込むと、人に会う活力が無くなってしまったり、時には「できないことばかりだ」と自暴自棄になってしまったりするかもしれません。
そういった場合に、寂しさを感じる方もいます。
どんなときに寂しいと感じている?具体例を紹介
私は以前高齢者の方にかかわる職場で働いていました。
そこでも「寂しさ」に関してお悩みを持っている方がいらっしゃいました。
子どもや孫が遠くにいて、なかなか会えず寂しい…
1人暮らしなので、毎日同じことの繰り返しになってしまう。
何か趣味を見つけたり、人と話したりしたい…
さまざまな理由で寂しさを感じていることを実体験より学びました。
老後が寂しいことで起こりやすい4つの健康に関する問題
老後の寂しさは、心身に影響を及ぼす可能性があります。
具体的な例は、以下の通りです。
- 認知機能の低下
- 生活習慣病
- うつ
- 孤独死
それぞれの項目について、以下で解説します。
認知症の進行
米国・イリノイ大学シカゴ校のBenjamin A. Shaw氏らの研究によれば、累積一人暮らし期間が1期間増加するごとに、男女とも約10%の認知症リスクが上がることが分かっています。
また、家族や友人などとの交流がないことにより、認知症の発見が遅れてしまうこともあるでしょう。
そういった観点からも、認知症の進行を防ぐためには人との交流が重要であるといえます。
生活習慣病
「1人分の食事だけでいいから」とあり合わせのものだけで食べたり、好きなものを好きなだけ摂っていると栄養バランスが崩れてしまいます。
また寂しい気持ちを埋めるために、お酒を飲み過ぎてしまうこともあるかもしれません。
栄養バランスの乱れが続くことで、血糖値が上昇したり、脂質が上がったりしてしまい、血管がボロボロになってしまう可能性があります。
生活習慣病は、脳卒中や心血管疾患などの大きな病気につながりかねません。
日頃からの食事や運動がとても大切です。
うつ
老後は、配偶者との離別や社会的地位の喪失など環境の変化が訪れる時期でもあります。
また、人との交流がないことにより、気分転換ができず塞ぎ込んでしまう可能性もあります。
抑うつ、興味の喪失、睡眠の変化などがあれば早めに精神科や心療内科を受診しましょう。
孤独死
家族や地域との繋がりがないことで、万が一ご自身の命に重大な危険があった場合に誰にも気づいてもらえないという危険性があります。
郵便受けに大量に新聞が溜まっていたり、長期間連絡がつかなかったりした場合に近隣の人が不審に思い連絡し、発見されるケースもあります。
地域の民生委員の方と顔を合わせておいたり、見守りサービスを契約しておいたりすることで安心につながるでしょう。
老後の寂しさを解消するための方法6選
老後が寂しいと感じた場合にできることを6つご紹介します。
- 地域の活動や行事に参加する
- 仕事をする
- 趣味をみつける
- SNSを活用する
- 高齢者向けのアパートへ入居する
- 地域包括支援センターへ相談する
今日から実践できることもあるので、寂しさが気になっている方はぜひ参考にしてみてください。
地域の活動や行事に参加する
地域の集まりや行事に参加することで、顔を覚えてもらえたり、交流が生まれたりします。
同じ年代の方達との交流であれば、ご自身の悩みと同じような悩みを持っている方がいるかもしれません。
意気投合し、思っていた以上に親密になれる可能性もあります。
また、異なる年代の方との交流も、自分とは違う価値観に触れて刺激になったり、子どもとの交流に癒やされたりするでしょう。
仕事をする
仕事で人と話したり、仕事に熱中したりすることで寂しさを紛らわすことができるでしょう。
年齢制限もあるかもしれないが、アルバイトとして雇用してもらえる可能性もあります。
また、シルバー人材センターに登録し、仕事を紹介してもらうことも1つの手です。
また、仕事をすることで収入も得られるため、金銭面においてもさらに余裕ができます。
趣味を見つける
老後からでもできる趣味はたくさんあります。
たとえば、塗り絵、園芸、カメラ、温泉などが挙げられます。
身体機能や認知機能を維持できるものも多いため、ご自分の興味のあるものや好きな物から探してみましょう。
SNSを活用する
LINEなどのアプリを使えば、遠方にいる子どもや友人などと気軽に連絡を取ることができます。
ビデオ通話などで顔を合わせて話すことも気分転換になるでしょう。
X(旧Twitter)などを作ってさまざまな方と交流するのも楽しみになるでしょう。
高齢者向けアパートへ入居する
食事や、介助サービスが付いている高齢者向けアパートへの入居を検討するのも一つの手です。
職員の見守りや緊急対応があるため、万が一のことも考えるととても安心です。
全てを介助してもらうわけではなく「自分でできることは自分で行う」気持ちも大切にしてくれる場所が多いです。
地域包括支援センターへ相談する
地域包括支援センターでは、高齢者の方の悩み相談や、それに対して必要な支援や活動を提案する役割を持っています。
専門知識を持った職員に相談することで解決につながることもあります。
1人だけで悩まず、電話や来所で相談してみるのもよいでしょう。
県によっては、「心の健康相談」というホットラインを設けているところもあります。
人との繋がりや熱中できる趣味を持つことが大切
老後には、子どもとの関係性や、配偶者との別れなどさまざまな原因により孤独や寂しさを感じやすくなります。
寂しさを放置してしまうと健康を損なってしまったり、心のバランスを崩してしまったりすることがあります。
老後が寂しい、また老後の暮らし方に不安がある場合には、1人で悩まず、行政や福祉の力を借りて不安を解消していきましょう。
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