「なぜ更年期になると太りやすくなる?」
「更年期による肥満を解消する方法は?」
「更年期にはどのような症状が現れるのか?」
という疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
更年期はホルモンバランスの乱れや筋肉量の減少など、体の中でさまざまな変化が起こりやすい時期です。
更年期に起こりやすい体の症状や、なぜ太りやすいかを知り、適切な対策をとることで更年期太りを未然に防ぐことができます。
今回は、更年期に太りやすい3つの原因と、その解決策について紹介します。
更年期の定義と起こりやすい体の変化をサクッと解説
公益社団法人 日本産科婦人科学会によれば、更年期の定義は以下の通りです。
- 閉経前の5年と閉経後の5年間を併せた10年間のこと
また、更年期は、早い方では40代前半から始まることも示されています。
さらに、更年期というと心身のバランスを崩してしまうというイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
更年期に現れるさまざまな症状の中で他の病気に伴わないものを「更年期症状」、その中でも症状が重く日常生活に支障を来すものを「更年期障害」といいます。
更年期症状として、起こりやすい体の変化は以下の通りです。
- ほてり、ホットフラッシュ
- 肩こりや冷え
- 気分の落ち込みやすさ、イライラする、情緒が不安定になる
また、このような更年期のはじまりの目安の1つとして、月経の乱れが挙げられます。
- 月経の周期が定まらない
- 月経の持続日数が短くなったり長くなったり不安定
- 月経の量が今までと異なる
以上のような変化が見られたら、更年期のはじまりのサインかもしれません。
更年期に太りやすい3つの原因
更年期に太りやすい原因は以下の3つです。
- 加齢により筋肉量が減少するため
- 女性ホルモン(エストロゲン)が減少するため
- 自律神経が乱れるため
それぞれについて詳しくご紹介します。
加齢により筋肉量が減少するため
更年期の年代に入る方は、若い頃(10代、20代)といった時期よりも筋肉量が落ちやすいことが原因といわれています。
筋肉量が落ちることにより、基礎代謝が低下し、脂肪が蓄積しやすくなってしまいます。
厚生労働省のデータからも、日本人女性の基礎代謝量は、加齢とともに減少することがわかります。
日本人の平均基礎代謝量
参照体重(kg) | 基礎代謝量(kcal/日) | |
30-49歳 | 53.1 | 1150 |
50-69歳 | 53.0 | 1100 |
70歳以上 | 49.5 | 1020 |
この表からも、基礎代謝が加齢に伴い減少することが分かります。
以上のことより、更年期太りを防ぐためには、筋肉量を維持・向上させ、基礎代謝を保つ必要があるといえるでしょう。
女性ホルモン(エストロゲン)が減少するため
エストロゲンは脂質代謝をコントロールするホルモンです。
閉経前後になると、卵巣機能が低下により、エストロゲンが大きく減少するといわれています。
エストロゲンは、食欲を抑える「レプチン」の分泌にも関わっています。
そのため、エストロゲンが減少すると「レプチン」の分泌も少なくなり、食欲を抑えられなくなることで、結果的に体重増加につながってしまう可能性があります。
また、エストロゲンが減少することにより、血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)や中性脂肪が増加しやすくなってしまいます。
自律神経が乱れるため
自律神経とは
自分の意思とは関係なく働いている神経のこと。「交感神経」と「副交感神経」の2つがあり、場面に応じて交互に切り替わることで、臓器など体の働きを調整しています。
交感神経:起きているとき、ストレスのかかっているときなどに優位になる
副交感神経:寝ているとき、体の緊張がほぐれているときに優位になる
自律神経が乱れることで、食べ過ぎてしまったり、甘いものを欲したりすることがあります。
また、人によっては食欲にムラが出ることもあるようです。
さらに、自律神経の乱れにより、女性ホルモンのバランスも崩れやすくなり、悪循環にはまってしまうこともあります。
更年期太りは生活習慣病にもつながる
更年期太りで、内臓脂肪が増加したり、LDLコレステロールが増加することで、動脈硬化につながり、将来的に脳卒中や糖尿病を招く可能性があります。
重篤な場合には、死亡や要介護状態につながることもあるため、原因と対策を知り早期に対策を行うことをおすすめします。
また「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づき、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防のために、特定保健指導なども行われています。
更年期太りを予防・解消するための方法5選
更年期太りを予防・解消するための方法を5つ紹介します。
- 食生活の見直しをする
- 運動量を増やす
- リラックス法を取り入れる
- 良質な睡眠をとる
- 医療機関へ相談する
食生活の見直しをする
更年期では、筋肉量の減少により、基礎代謝が下がってしまいます。
基礎代謝とは、生命維持のために何をしなくとも消費されるエネルギーのことを指します。
すなわち基礎代謝が下がると、それだけ消費されるエネルギーが少なくなり、余分なエネルギーが脂肪として体に蓄えられてしまいます。
そのため、更年期太りを予防するには、食生活の見直しを行うことが必要です。
具体的には、以下の通りです。
- 油分や糖質の多いものは控えめにする
- 女性ホルモンに似た働きをするイソフラボンを積極的にとる
特に大豆イソフラボンは、植物エストロゲンともいわれます。エストロゲンに似た働きがあり、更年期症状の改善が期待できるので、豆製品を取り入れることもおすすめです。
運動量を増やす
筋肉量を増やす、減らさないためにも、ウォーキングやヨガなどの運動を取り入れましょう。
また、内臓脂肪を減らすためには、有酸素運動が効果的です。
さらに、効率良く脂肪を燃やしたいとお考えの方には、大きい筋肉(大腿、殿部など)を鍛える筋トレもおすすめです。
自宅でできるトレーニング(YouTubeなどで)を行うこともよいでしょう。
なかなか時間がとれない方には、ドローインというお腹をへこませるだけの運動もあります。
リラックス法を取り入れる
自律神経の乱れから必要以上に食べ過ぎたり、甘いものを摂りすぎたりしないよう、ご自分に合ったリラックス法を取り入れましょう。
身近に取り入れられるリラックス法には、以下のようなものがあります。
- 好きな音楽を聴く
- ゆっくりと湯船につかる
- 子どもやペットと遊ぶ
ご自分の生活のなかに取り入れられるものを探してみましょう。
良質な睡眠をとる
自律神経を整えるためには、質の良い睡眠をとることが大切です。
また、一般的に睡眠不足の人は体重を増加させる食品をよく摂っており、太りやすいともいわれています。
睡眠の質を高める方法として、以下のようなものが挙げられます。
- 起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴びる
- 寝る前にはスマートフォンの操作をしない
- 自分に合った枕やマットレスを使う
十分な睡眠をとり、更年期太りを防ぎましょう。
医療機関へ相談する
更年期の症状が激しい場合には、婦人科の医師に相談しましょう。
更年期障害に対しては、漢方薬などの薬の処方が行われる場合もあります。
更年期は体と心のバランスを上手に取りながら過ごしましょう
更年期症状が起こりやすくなる年代は、家庭も仕事も忙しい方が多い時期でもあります。
自分の体が発するサインに気づき、対策をとっていくことが更年期太りの予防になるでしょう。
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