【とりすぎにも注意!】鉄分過剰摂取による影響と、摂取の目安について解説

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「鉄分を摂りすぎるとどうなる?」

「どのようなときに鉄分を摂りすぎてしまうんだろう」

日にどれくらいなら鉄分を摂っても大丈夫?」

という疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

鉄分は不足している場合だけでなく、摂りすぎている場合にも体に悪影響を及ぼします。

鉄分を気にしている方のなかには、食事に意識して取り入れたり、鉄分のサプリメントの服用をお考えの方もいらっしゃるでしょう。

本記事では、鉄分の摂りすぎた場合に起こる症状や、摂りすぎを防ぐための対策について解説します。

鉄分の摂りすぎによる体の不調を起こさないためにも、適正量を摂取しましょう。

鉄分とは?

鉄分の働きや、鉄分の種類について解説します。

鉄分の働き

鉄分は、人体に必要なミネラルの一種で、赤血球中に主に含まれています。

体内の酸素の運搬にかかわっており、不足すると酸素の供給が十分にできなくなります。

また、鉄分は体内では作ることができません。

そのため、普段の食事などから鉄分を意識して摂る必要があります。

鉄分の必要量は、男女の場合で異なり、特に女性は月経の有無や授乳期にあるかどうかでも変わります。

ヘム鉄と非ヘム鉄の違い

鉄には、肉や魚に含まれるヘム鉄と、野菜などに含まれる非ヘム鉄があります。

ヘム鉄は非ヘム鉄よりも体によく吸収されます。

また、吸収率の低い非ヘム鉄も、ヘム鉄と合わせて摂ることで吸収率が良くなります。

鉄分の摂りすぎは危険

腸管機能が正常な成人が、食事から鉄分を摂るだけであれば、鉄を過剰摂取することはほとんどありません。

しかし、サプリメントや医薬品から鉄分を急激に摂りすぎると、胃のむかつきや便秘、気持ち悪さを覚えたり、失神を起こしたりする可能性があります。

重度の場合には、多臓器機能不全、昏睡、けいれんを起こすことがあり、死につながる場合もあります。

鉄分の摂りすぎで起こる5つの症状

鉄分の摂りすぎで起こる症状は、以下の5つです。

  1. 胃腸障害
  2. 便秘
  3. 亜鉛の吸収阻害
  4. 鉄沈着症
  5. 鉄中毒

それぞれについて詳しく見ていきます。

胃腸障害

鉄分を摂りすぎると、便秘、吐き気、嘔吐、下痢といった症状が見られます。

鉄分を過剰に摂取すると、体が酸化し、胃の中で活性酸素が出るためです。

もし病院で処方された鉄剤で上記のような胃腸障害が起こった場合には、医師に症状を伝え、鉄剤の変更ができるか、症状の対処法などを相談しましょう。

便秘

鉄分を過剰摂取することで、腸内環境のバランスが崩れ、便秘になってしまうこともあります。

その理由としては、腸内フローラで悪玉菌が善玉菌よりも優位になってしまうためです。

また、便秘と下痢を繰り返すケースもあるようです。

腸内フローラとは

腸内には約1,000種100兆個の細菌がバランスを取りながら、腸内環境を良い状態に保っています。

多数の細菌が密集している様子がお花畑(flora)のように見えるため、腸内フローラと呼ばれています。

亜鉛の吸収阻害

亜鉛は体の発育や成長を助けたり、皮膚代謝、糖代謝や免疫にもかかわる、とても大切なミネラルです。

鉄分を過剰摂取してしまい、亜鉛が欠乏すると、味覚障害や皮膚炎、食欲不振、免疫機能の低下などを引き起こします。

身体症状のほかにも、記憶力の低下や意欲の低下などの症状が出ることもあります。

鉄沈着症

鉄を必要量を超えて摂取した場合、過剰な鉄が全身の組織に蓄積されます。

鉄が内分泌器官(特に、膵臓、性腺、下垂体)、肝臓、心臓に蓄積すると、症状や合併症が生じる可能性があります。

具体的な症状や合併症は以下の通りです。

  • 血管疾患
  • 糖尿病
  • 肝硬変

鉄を体内に蓄積させないよう、適正量を守ることが重要です。

鉄中毒

鉄剤服用などで鉄分の過剰摂取を行った場合、最悪の場合、鉄中毒を起こし死に至ることもあります。

MSDマニュアルによれば、 重篤な鉄中毒の症状が出現するのは、過剰摂取後6時間以内です。

嘔吐、下痢、腹痛から始まり、適切な治療を行えなかった場合、数日以内に肝不全に陥る可能性があります。

鉄中毒は、血液検査で血液中の鉄濃度を調べたり、胃や腸のレントゲンを撮り、錠剤の写り込みを確認して診断します。

鉄中毒 – 25. 外傷と中毒 – MSDマニュアル家庭版 (msdmanuals.com)

鉄分の摂りすぎを防ぐ2つの対処法

鉄分を適性に摂取し、体の不調を解決したり、気持ちよく過ごすための方法をご紹介します。

鉄分を摂りすぎる場面を知って防ぐ

普通の生活をしていれば、鉄分を摂りすぎることはほとんどないといわれています。

しかし、鉄分不足を気にして鉄が多く含まれる食品やサプリメントを摂りすぎていると、意図せず健康を害してしまう可能性があります。

そのため、サプリメントや食品の表示をよく確認し、用法・用量を守って摂取しましょう。

鉄分を過剰に摂取しても、吸収されず、体外へ排出されてしまいます。

適切な鉄分の摂取量を把握して守る

成人の耐用上限は以下の通りです。

女性は男性との体重差を考慮したうえでの数値になっています。

年齢(女性)耐用上限必要摂取量
18歳~40mg6.5g
65歳~40mg6.0g
年齢(男性)耐用上限必要摂取量
18歳~40mg7.5g
75歳~40mg7.0g

サプリメントや鉄剤を服用する場合には、用法・用量をよく確認して、適正量を服用しましょう。

鉄分を摂りすぎずに効率良く摂取するコツ5選

吸収率をよくする栄養素と一緒にとる

鉄分の吸収率は、同時に摂取する栄養素でも変わります。

特に吸収率の低い「非ヘム鉄」を摂る場合には、ビタミンCを多く含む野菜や果物を一緒にとることをおすすめします。

ビタミンCを多く含む野菜、果物の例は以下の通りです。

  • 緑黄色野菜 パプリカ、ブロッコリー、ケール、モロヘイヤ、かぼちゃなど
  • 果物 オレンジやキウイフルーツ、柿、イチゴなど

また、肉や魚などの動物性タンパク質やカゼインを含む牛乳を一緒にとるのもおすすめです。

吸収率を下げるものの同時摂取を控える

吸収率を上げる栄養素もあれば、吸収率を下げてしまう栄養素もあります。

例えば、タンニン、リン酸塩、フィチン酸が挙げられます。

上記それぞれを含む食品は以下の通りです。

  • タンニン コーヒー、紅茶、緑茶など
  • リン酸塩 加工食品、インスタント食品
  • フィチン酸 玄米、ライ麦、穀物の外皮など

吸収率を下げてしまう食品との同時摂取は可能な限り避けましょう。

サプリメントは補助的に活用する

はじめからサプリメントで必要量を摂取しようと考えるのではなく、食事の中から鉄分を摂取するよう心がけましょう。

また、鉄分サプリには「ヘム鉄」のサプリと「非ヘム鉄」のサプリがあります。

吸収率の良い「ヘム鉄」のサプリを選ぶ、もしくは吸収率を補うためのクエン酸が配合されているタイプの「非ヘム」のサプリを選ぶことをおすすめします。

多く摂取すれば良い効果が増すわけではないため、1日の用量を守って使用しましょう。

腸内環境を整えながら摂取する

腸内環境が悪く、善玉菌よりも悪玉菌が優位になっている状態で鉄分を摂っても、悪玉菌が鉄を使ってしまうため、さらに腸内環境が悪くなる原因ともなります。

腸内環境を整えるために、ヨーグルトや発酵食品、水溶性食物繊維を多く含む海藻類、マンナンを含むこんにゃくなどを意識して摂りましょう。

ヘム鉄を含む食品を意識して摂取する

前述したとおり、「非ヘム鉄」よりも「ヘム鉄」の方が吸収率は良いことがわかっています。

そのためヘム鉄を含む食品を食事に積極的に取り入れることで、鉄分の吸収率を上げられます

まとめ

鉄剤を過剰摂取すると、軽度の胃腸障害から、最悪死に至る場合もあります。

鉄分不足に対してのサプリメントをお考えの場合や、貧血などで鉄剤を処方されている場合には、必ず用法・用量を守って服用しましょう。

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